
魔法少女と呼ばないでbefore後編は、人妻、変身ヒロイン、巨乳などのジャンルが好きな方にオススメの漫画作品です。
モラル ハザード
読み終わった後の心情は決して良いものでは無く(寝取られもの作品は得てしてそんなものなのだろうが)作者の作品は特に他に比類無い程、深く鬱々とした気分に沈み込ませられます。
その原因の1つに決して一夜だけでなく何度も何度も繰り返す過ち
なのに存分に歓び繋がったその浮気相手を選ぶこと無く、魅力の劣る夫や恋人に言葉だけの愛を誓う。
それでいて尚も裏切り続け、飽きる程の享楽が終わったあと何事もなかったかのように元に戻る
愛する人との別れなどの罰則も何ら受けずに、ヒロイン達は愛した男との情事を胸に秘め、想い出として生涯良心の呵責も無く夫や未来の夫に愛されて生きていくのでしょう。
そして、この先もずっと嘘を隠され続けられた哀れな偽の生活を一生背負い続けさせられる敗者の善良な(魅力の無い)男たち、この対比がすごく分に合わないのです。
読み手には夫や彼氏の劣等感と、ヒロインの嘘にまみれた上辺だけの変わらぬ愛を連想させます
その愛情は力無い無味乾燥な虚しい言葉と、またいずれ必ず破られるであろう儚い決意の羅列にしか見えません。
何度も、何度でも心で謝りながら誓う、幾らでも容易で可能な発するだけの言葉と心情が、即席麺のように簡単に大量に生成され吐かれ続けていきます
それに対してヒロインの言葉や仕草に顔を赤らめるような、幼稚で純な子供であり続ける夫や彼氏たち
作品の中で善人達は聡明さが微塵も無く搾取されるだけの存在に描かれています
リョウとシンジ、サトシとユウキ、他作の白石と藤田、
親友とカテゴリされるはずの面々ですが、全て裏切られます
作者の作品に気の置け無い誠実な親友はほぼ存在しません
そして登場する愛する彼や夫のいる女性達、身も心も全て堕ちます
それでいて別れない
バレて無いから別れ無い
不倫や浮気の代償としての別れすら回避し叉選択しない不誠実で倫理観の皆無な卑怯な考えのヒロイン達の存在
稀にバレてるパターンもありますが何故か主人公が黙って独り心にしまってしまいます
浮気相手の男に何一つ勝る物がないのに、ヒロインと相手の身体の相性、楽しそうな会話
その現実を目のあたりにしてもそれでも「彼女(妻)は僕のことを愛してる」と身勝手な妄想と執着
ヒロインは何一つ持ち合わせて無い主人公に、何故か変わらぬ愛を示し続けるご都合主義的な設定
読後の悪さはそれに尽きます
後編も最高でした
後編では、敵の怪物に犯られたり、前回の外伝の後編や、本作の別パターンのエンディングまで実に贅沢な詰め合わせとなっております。
今回は夫への愛は残っておりながらも、肉体的な相性の良さから肉体は当然として心まで完全に堕とされてしまいます。
この作者さんが好んで使っている表現にある、妊娠からの、寝取り相手へのパパ呼びは、まさに分かってらっしゃるの一言。
前編と同様、情念の籠った文章の物凄いボリュームと、イラストは言わずもがな素晴らしいです。感謝。
魔法人妻アンナと出来損ない魔法少女ルリが織りなす「魔法少女と呼ばないで」前日譚完結編。
文字数約二十五万文字。
挿絵10枚。
書き下ろしおまけ短編3編。